2021年11月20日

茶話拾遺 1301 薄田泣菫小伝 2021・12・1  

 茶話拾遺 1301 薄田泣菫小伝       2021・12・1 
  (ちゃばなししゅうい)と読む

 わが師 薄田泣菫は 茶話(ちゃばなし)を遺した。
 のちに矢沢永一、浦西和彦が「完本茶話」に編集した。
 上巻297編 中巻282編 下巻232編 合計811編である。
 大正4年から昭和5年にわたり、全体の8割強は 大阪毎日新聞に掲載された。
 その後「サンデー毎日」「東京日日新聞」などに移り、昭和5年1月 まで続いた。

  丸谷才一は、谷沢永一のように、薄田泣菫を再評価して いる。

  泣菫の書いた「たけくらべの作者」を 激賞している。
   それは 完本茶話には ふくまれない。
   ただ 完本茶話下巻の巻末に 掲載されている。
 私は それを倉敷で見つけた。
 倉敷にある薄田泣菫顕彰会を訊ねたとき、泣菫小伝1を入手した。
 2002年の発行である。
 
 その1 第1集に「たけくらべの作者」と題した随筆がある。

「ある日 樋口一葉とその妹が、上野図書館に来ていた
    一葉女史は、墨汁を机の上にこぼしてしまう。
    一葉女史は、袂の中から真白な手巾を出して なにげなく拭き取ってしまう。
     玄関を出ようとしたとき 一葉女史は、下駄の鼻緒を切ってしまった。
     妹は、さっきの墨汁に染まった手巾を裂いて、鼻緒をすげてしまった。
     ふたりは笑い声をたてて 門を西へ消えてしまった。

これは 創作でなく、泣菫の20歳ぐらいでの体験であった ように書いてある。


     丸谷才一は、これを どこで読んだか知らない。
   私は 小冊子 泣菫小伝1-7巻を、いまでも 保管している。



     

     


 

Posted by kinnyuuronnsawa at 15:18