883 怠惰な読書人 2014.8.31
私は、もう78才だが、今年から、眼が良くなった。
ときどき書いてきた隣の公園に、今朝も多くの小鳥が飛んできた。
30ｍばかり離れている樹上の、スズメ、メジロ、シジュウカラ、ホオジロ、ムクドリなどは、めがね無しで、今は、よく識別できる。
ときどきコーモリが夕方にくるが、オナガ、ヒヨドリ、キジバト、など大型ものは、まだ来ない。
なぜか、カラスは、めっきり減ってしまった。
公園には、まだセミが多少いるが、虫の声が主役である。
まもなく、トンボが増えてくるだろう。
この部屋から、ガラス戸を開けて、公園で遊んでいる子供たちと言葉を交わすことがある。
サッカーボールが、庭に入ってきたときが多いが、ある日、小学校3-4年ぐらいの男の子が、公園の楓の木の上から声をかけてきた。
「おじいちゃん、引越しするの？」「しないよ」
「どうして、本や、いろんな物が、いっぱい積んであるの？」
子供は、よく見ているもので、痛いところを突いてきた。
積んでいるのではなくて、ただ散らかっているのだ。
この８畳の部屋には、机が二つ、２段のステイール・ロッカーが２本、その上はテレビと、フロッピーデイスクのヤマ。
もう一つの三段ロッカーの上は、使ったCDやカセットテープが積んである。
その真中の大きな座椅子が、これが庵主の安住の席だが、それを除くと床は殆ど見えない。
本や書類などが、うずたかく平積みになっているのだ。
別に、六畳ぐらいの書庫はある。
その四隅の高い本棚は満杯で、床も歩く余地はない。
それと離れて、廊下には、天井近くまで届く本棚が五本あるが、もちろん入りきれず、余った床の隅は平積みで、歩行困難である。
掘り出し物 「ヘンリ・ライクロフトの手記」藤野滋訳、大正13年（1924年）5月発行、が出てきた。
どこだったか忘れたが、古書店で、500円で買ったものらしく、大正13年5月の発行。安倍能成が、巻末に、「ヘンリイ・ライクロフトの手記」を讀みて、と、跋文を寄せている。
開文社の英文テキスト（昭和30年初版）、岩波文庫のワイド版、（平成3年版）と同じところに積んであった。
こういうことは、めずらしい。
わたしは、本は読んできたが、愛書家でもない、蔵書家でもない。
わが書物の堆積の処分をどうしたらよいか、途方にくれている。
